「1週間の検討が2日に」 ―不二総合コンサルタントがV-nasClairで実現した、3次元設計の内製化と提案力の向上―

「1週間の検討が2日に」 ―不二総合コンサルタントがV-nasClairで実現した、3次元設計の内製化と提案力の向上―

不二総合コンサルタント株式会社様

静岡県を拠点に、測量から設計、開発までを幅広く手掛ける総合建設コンサルタントの不二総合コンサルタント株式会社。同社は、長年親しんできた2DCAD「V-nas」から、3次元設計ソリューション「V-nasClairシリーズ」へ全面的に移行し、外部委託に頼らない「3次元設計の完全内製化」を推進しているのです。

背景にあるのは、BIM/CIMを見据えた対応と、地域に寄り添うコンサルタントとして「より精度の高い、分かりやすい提案を届けたい」という現場の想いでした。
現在、同社では「V-nasClair」シリーズを活用し、設計の初期段階から3Dで検討することで、従来は1週間を要していたルート比較検討をわずか2日に短縮するなど、劇的な成果を上げています。

3次元設計は、業務をどう変えたのか。
今回は、砂防設計の現場をリードする、設計部水工課 生熊純也さんと梶村梨紗さんから、その道のりと手応えを伺いました。

不二総合コンサルタント株式会社
(左から)設計部水工課 生熊 純也 氏 梶村 梨紗 氏


「2Dだけでは戦えない」――地域に根ざすコンサルタントの決断

静岡県の急峻な地形で砂防施設や道路の設計を担う不二総合コンサルタントにとって、3D化は避けて通れない課題でした。 
「2次元だけをやっているというのは、もう時代遅れだという意識が社内にありました。全国の会社と戦っていくためには、3次元化はやっていかなければならないことなんです」 と、生熊さんは導入当時の心境をそう振り返ります。

かつての2D中心の業務では、複雑な地形を平面図や断面図から読み解き、頭の中で立体を組み立てる必要がありました。しかし、それでは発注者や地元住民との合意形成に時間がかかることも少なくありませんでした。
「3次元モデルは、ないならないで業務は進みますが、やはりあった方が絶対にいい。説明が楽になりますから」という確信が、同社を動かしました。


選定の決め手は「V-nasの操作感」

新たな3Dツールとして「V-nasClairシリーズ」が選ばれた理由は、長年使い続けてきた「V-nas」の操作性を引き継いでいることでした。
「少し触ってみれば、これは使っていきたいなという気持ちになるほど、コマンドが分かりやすいんです」と生熊さんは語ります。
また、過去の2D資産を活かしつつスムーズに3Dに移行できる点は、全社的な導入を進める上での大きなアドバンテージとなりました。

現在、同社では新砂防システム「SABO_Kit」や道路設計「ROAD_Kit」をはじめとした、12種類のKit製品を導入し、設計の各プロセスで3Dデータを活用できる体制を整えています。


若手も活躍する「完全内製化」――2年目で道路設計をこなす成長スピード

不二総合コンサルタントの強みは、3次元設計を外部の専門業者に頼らず、100%自社で完結させている点にあります。砂防設計の分野では、5名程度の技術者が自らV-nasClairを操り、検討業務にあたっています。

教育体制について、梶村さんは「基本はOJTです。教育担当が横に座って教えたり、マニュアルや練習用データを使って慣れてもらっています」と説明します。
この地道な取り組みが実を結び、入社2〜3年目の若手技術者が、すでに「ROAD_Kit」を使って道路設計の実務をこなせるレベルまで成長しているのです。
 「今の若手たちは、最初から3次元があるのが当たり前という感覚で仕事に取り組んでいます」という言葉に、同社の技術継承の速さが伺えます。


点群データ「VIRTUAL SHIZUOKA」を活用した柔軟な設計

同社では、業務内容や対象範囲に応じて、現場で取得した測量データや、2D図面をV-nasClairで3D化したデータなどを使い分けながら、最適な手法を選択しています。

その中でも、広範囲の検討や、設計初期段階で地形の全体像を素早く把握したい場合に活用しているのが、静岡県が公開する点群データ「VIRTUAL SHIZUOKA」です。 
「測量データがない広範囲の検討では、公開点群データが非常に役に立ちます。V-nasClair上で点群データを取り込み、そこに施設や道路の配置検討をすることで、設計の方向性を短時間で確認できるようになりました。」

特に砂防堰堤の計画では、工事用道路をどこから入れるかという検討が欠かせません。
「V-nasClairなら、線形を引くだけで、切土・盛土の土量計算まで自動で行えます。これが本当に助かっています。検討スピードが大きく向上しました。」と、梶村さんはその効果を語ります。


1週間の試行錯誤が2日に。設計初期の検討を効率化

こうした3次元設計の活用は、比較検討業務の効率化にもつながっています。
「以前は3つの案を比較検討し、土量算出や影響範囲の図面を作るのに、手作業で1週間ほどかかっていました。それが今では、実質2日で終えられるようになりました。」

また、業務受注前の見積り段階でも活用の幅は広がっています。
「谷底へ下りていくような工事用道路でも、3時間ほどあれば概略の線形を作成できます。見積りを作成する際に、作業ボリュームを短時間で把握できるようになったことは、会社としても大きなメリットです。」


住民の不安を安心に変える「視覚的プレゼンテーション」

効率化以上に大きな成果と言えるのが、発注者や地域住民とのコミュニケーションの変化です。
「打合せなどで、3次元モデルをPC上で動かしながら説明すると、反応が全く違います。下から覗き上げた時の見え方や、上から俯瞰した図、道路上に立った時の景観などを自由自在に見せられる。
1からパースを作るのは大変ですが、V-nasClairなら設計データそのものを動かして見せられるので、これは強力な武器です。」

「一度3次元モデルを提示すると、次回の業務でも必ず求められるようになります。」という言葉が、その説得力を物語っています。
視覚的に分かりやすい資料は、専門知識を持たない人々の不安を解消し、合意形成を円滑に進めるための「信頼の架け橋」となっているのです。


未来への展望――構造物の詳細化と地中の可視化

不二総合コンサルタントの挑戦は続きます。
今後は、V-nasClairシリーズのフル活用を図り、擁壁や集水桝といった構造物モデルの作成スキルを高め、より詳細な設計検討に活かしていく考えです。

また、地すべり対策業務においては、ボーリングデータをもとに地層の3Dモデルを作成できる「GEO_Kit」の活用にも期待を寄せています。

「地中のすべり面がどう分布しているかを立体的に把握できれば、設計上の検討もしやすくなりますし、設計の精度はさらに向上します。これは非常に大きな武器になるはずです。」

地表面のモデル化に加え、地中情報の可視化も進めることで、さらなる設計品質の向上を目指しています。
さらに、AIの試験導入も開始しており、報告書作成の補助など、設計業務全体のデジタル化を加速させていく構えです。

「新しいものに食いつくのが、うちの会社のいいところですから」
笑顔でそう語る技術者たちの視線の先には、デジタル技術を自在に操り、地域の安全を支える建設コンサルタントの進化し続ける姿がありました。